最近の仕事/三越伊勢丹

年末ですね。最近の仕事を紹介します。



「三越伊勢丹グループ 2018冬のクリアランスセール」広告で
和文ロゴタイプ(タイポグラフィ)を担当しました!
※制作は(株)スタジオ・ユニ(AD:林和昭)

今年よりセールのスタートが1週間も早まっており、
既にWEBには掲載されています。
http://www.miguide.jp/clearance/201801/

ムービーでは文字を大胆に動かしてもらってすごく嬉しいです。
※放送前につきこのサイトのもの(YouTube)は解像度低めになっているようです。

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CM放送は、
新宿三越伊勢丹BSCM12月29日から
イセタンセントレアCM12月25日から
岩田屋三越CM12月26日から
静岡伊勢丹CM12月30日から

その他
トレインチャンネル(東京メトロ・JR埼京・京浜)
新宿三丁目メトロコンコース
新宿三丁目丸の内線構内ポスター
アイビジョン
電飾看板
などが12月25日から掲載スタート、とのことです。

年末年始、東京の方も地方の方も、眼にしていただける機会が多いと思いますので
是非よろしくお願いいたします。

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龍口テラス

久しぶりの投稿です。3ヶ月も空いてしまいました。

前の記事で日蓮宗の「龍口法難750」の仕事について書きましたが、
2020年の法要に向けて、キャンペーンが始まっています。
基本的には湘南(藤沢市片瀬)の寂光山・龍口寺での行事に合わせて
寺フェス「龍口テラス」という形でイベントを行っていきます。

11月21日は宗祖・日蓮大聖人の命日である「御会式(おえしき)」での龍口テラス。

好天に恵まれて穏やかに開催されました。(早い時間帯の撮影ですが、その後賑わってきました。)
制作したロゴはのぼりになったり様々に展開されていました。
ロゴカラーの青色は湘南という立地からのセレクトでしたが、 晴天の空に映えていて、選択が間違っていなかったことに安堵しました。

今回は一般の方々に混じってイベントにも参加。朝一の「唱題行」では日蓮宗の修行法を短時間体験。「中華なお寺ごはん」では鎌倉の凛林さん提供による手の込んだ中華精進を味わいながら横須賀の静円寺住職・石本真教上人の法話を拝聴。まだ30代の方でしたが、ユーモアのある巧みな話術で引き込まれました。





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東虚オリンピック エンブレム

それにしても東京オリンピックの運営にはうんざりです。
数々の失態によって「この国は五輪が開催できるほど文化レベルが高くない」ということがはっきりしたわけですから今から中止という選択もありだと思います。直近数大会のデータをみれば、施設の建設費が当初の予算を大幅に上回ること、大会終了後に不況が来ることなども高い確率で予想されることです。
それでも不条理な現状と向き合い、それを逆手に取って作品化していくのがアーティストの御役目ですから、社会批評的な作品としてエンブレムを作ってみました。

1940年の幻の東京五輪ポスターに使われていた富士山のシルエットを意識しつつ、OLYMPICの"O"、カネを表す小判、虚の文字、東京の"t"、などをミックスしました。
これを機会に少しでも物事の「本質」と向き合える社会になればという願いを込めて・・。

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「本質」について

 東京五輪のエンブレムの件、心無いバッシングに加担するつもりはありませんが、クリエイターとしては重要な問題なので考えていきたいと思います。※以下は、盗作ではないという前提でのデザイン・コンセプトについての話です。

 8月5日のブログでは、その時代の勢いが五輪のマークに(無意識的に)凝縮してしまうのではないか?という仮説を書きましたが、今回の2020年東京大会のエンブレムについて全く触れなかったのは、この国の現状とエンブレムの保守的なデザインに対する無言の批判のつもりでした。
 ただ、どうしてこのデザインにピンと来ないのか?うまく言語化できないままモヤモヤしていたところ、著名コピーライターの小霜和也(こしもかずや)氏のブログを読み、頭の中の霧が晴れました。
http://koshimo-blog.com/?p=1339
バリアフリー(ユニバーサルデザイン)や「五輪と金(かね)」に関する話が主ですが、後半エンブレムの話になります。以下引用。
 
〜オリンピックの新エンブレム、好きか、と聞かれれば正直僕はあまり好きではないです。
理由は、そこには「東京」と「日本」しかないから。
リオも、ロンドンも、北京も、シドニーも、エンブレムで表現していたのは「人のパワー」です。
オリンピックの本質はそこにこそあるからで、どれも、人のパワーをその都市なりのカルチャーで表現するとこうなる、というデザインなわけです。〜

 「オリンピックの本質」ということばが突き刺さってきますね。ロゴやマークではなく「エンブレム」という重々しいことばを使う意味もわかりました。
 今回の決定案、確かに日本と東京を「宣伝」するためのロゴと考えれば手堅くまとまっているかもしれません。しかし本来オリンピックのエンブレムが目指すべきはそんな次元のものではなかった。結果的に宣伝としての意味が強いロゴが選ばれてしまったのは今の日本の政治や経済、すべての状況が反映されてのことだと思います。
 アートでもデザインでも海外で通用する作品が作れるかどうかは、ものごとの「本質」とどれだけ向き合えるかにかかっているのではないでしょうか?

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五輪エンブレムについて

2020年東京五輪のエンブレムが話題になっているので歴代の作品を見てみました。そもそもエンブレムという用語、あまり使わないのですが、五輪などの国家的プロジェクトは「マーク」や「ロゴ」ではなくて「エンブレム」でなくてはいけないのでしょう。言葉からすでに格式張った印象を受けます。
ネット上で歴代のエンブレムを見て、かっこいいと思えるものは以外と少ないですね。幅広い国籍・年齢層の人々にアピールしなければいけないので、あえて最新のグラフィックは採用されないのかな?という印象です。
自分が好きなのはタイポだけで処理した1968年メキシコ大会とオプティカルアート的でモノトーンが潔い1972年ミュンヘン大会。2012年ロンドン大会のエンブレムは最初いいと思えませんでしたが、パラリンピック用のをうまく展開していて、グラフィック大国だけにチャレンジ精神を感じました。








いろいろ見て、その時代の勢いが(無意識的に)個々のデザインに凝縮しているような気がしました。
上記の1968年と1972年、非常に挑戦的・革新的な時代だったので「エンブレム」という古臭いことばを超えるようなデザインが生まれたのかな?と思います。(あと五輪が商業主義化する前のものですね。)

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台北サイン事情

グラフィックデザイナーとして、タイポグラフィ作家として
長く文字を扱っている人間としては
海外の都市にあふれる様々な文字(表示)にはついつい眼が向きます。

今回の研修旅行では、台北の街をブラつく時間はありませんでしたので
計画性と統一感を感じた地下鉄構内のサインのみレポートします。


↑大きくボリューム感のある表示。鉄道関係は日本でも同類のフォント(新ゴシック系)
が使われていますが「孝」の「子」の部分はね方などは微妙に違います。


↑色分けも分かりやすい。


↑これだけ空港。「手」の縦棒は和文フォントでは真っ直ぐになりますが
自分はこちらのふっくらした書体が好み。


↑明朝系の表示。色使いが上品。


↑洗練された駅構内の建築スタイルとシンプルなサイン。

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絵本「あなのなか」

イラストレーター森あさ子さんの絵本作家デビュー作「あなのなか」が
12月13日に岩崎書店から発売になりました。



バンドウはタイトルの手描きタイポを含む装丁と本文レイアウトを担当しました。
絵本のお仕事は今回初めてでしたが、
作家さん、編集者さんとの入念なコラボレーションによって
満足の行く仕上がりになりましたので、
もし見かけたら手に取っていただけると嬉しいです。



カラフルな切り絵による楽しいストーリーとユーモラスでかわいいキャラクター、
など、とてもチャーミングな本です!

★絵本ナビにて詳細がご覧いただけます。
「あなのなか」紹介ページ

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ドローイング・スタディ

八大龍王のタイポグラフィ制作。
今までは、教典からの引用やマントラなど、
それ自体に深い意味を内包している文字の制作をしてきましたが
今回、違うのは一つ一つがあくまで龍王の名称であって
それ自体の意味性が薄いということ。

なので文字だけで成立しない場合は、
龍に付随するいくつかのアイテムを組み合わせることも
あり得るかもしれません。伝統的に考えれば、雲、波などでしょうが
炎などもあり得るので、ドローイングスタディ中。



drawing by jiro bando

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昔の仕事(タイトルデザイン)

掃除をしていてファイルから昔の仕事が出てきました。
漫画アクション(双葉社)のコラムページの題字あれこれ。
10/4の記事「マシューカーター氏のタイプデザイン」と
同時期の仕事だと思います。この時期は
広告代理店系のかっちりした仕事、こういったくだけた仕事、
いろいろやってましたね。

写真、赤っぽいですが(コラムページだけ)こういう色なんです。

title design by jiro bando

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マシュー・カーター氏のタイプデザイン

10数年も前の話ですが、
Too主催のタイプデザインセミナー受講時のメモが出てきました。
20代の多くを費やしたミュージシャン活動から一旦離れ、
アートディレクター2人のもとでグラフィックデザイン修行、
そして見切り発車的にフリーランスで仕事を始めた時期。

大学では彫刻専攻だったため、デザインに関しては師匠の見よう見まね以外に
カルチャーセンターでシルクスクリーンを習ったり、
こういったセミナーで勉強していたわけです。

文字全般には最初から興味がありました。
和英問わず完成度の高い(普遍的な)書体、
当時流行していたネヴィル・ブロディの大胆なタイポグラフィ、どちらも
見ればみるほど、骨格やフォルム、構成など重要な要素が
タイポグラフィと彫刻で共通していることに気がついて行きました。

フォントグラファーというソフトの登場、
エミグレなど斬新なタイポグラフィによるグラフィック誌の影響で
オリジナル英語書体を作るのがはやってきたのもこの時期だったと思います。

初心に帰る意味で、メモを見ながら思い出していきます。
講師はイギリスの著名なタイプデザイナーのマシュー・カーター氏。
最前列に浅葉克己氏と息子さんが陣取っていたのを覚えています。


※クリックで拡大(memo by jiro bando)

メモの一行目に書いてあるのは、
カーター氏が新規にアルファベットをデザインするときの順番です。
小文字の「h」から始めて「o」「p」「v」「i」ときて、やっと「a」。
Aから作るわけではないんですね。

特に「h」にはアルファベットの主要な要素が凝縮しているため
重要だとおっしゃっていました。
「h」のデザインがn、m、u、r、yなどにつながり
「o」を決めると、e、cの形も決まる、
同じく「p」はb、d、q、gなどへ。「v」はw、yへ。
これで書体の「基礎ができる」と記されています。

個々の字のフォルムやボリュームに関する話の後は字間に関する話。
一定量の水が入ったビニール袋を文字と文字の間に入れるイメージによって、
距離ではなく体積(面積)で字間をとらえていく方法、
フォントグラファーやイラストレータでのパスの扱い、
特に曲線でのアンカーポイントを置く位置など、
2日間という短い時間でしたが非常に充実していたことを記憶しています。

自分はこのセミナー後も、書体(フォント)制作には向かいませんでしたが
(日本語と英語の違いはあれど)第一線の技術を垣間見たことが、
その後の文字組やロゴタイプ作り、
現在のオリジナル作品制作に生かされていることは確かです。

<タイポグラフィ作品の記事一覧>
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